中杉通りの木は杉ではないのか? 杉並の杉は杉ではないのか?《杉並区あるある検証 No.2》
まいぷれ杉並区編集部

中杉通り
中杉通りの木は杉ではないのか、杉並の杉は杉ではないのか
東京都杉並区にある「中杉通り」。その名を聞けば、多くの人が「杉の並木道」を連想することでしょう。しかし、実際にこの通りを歩いた人はこう思うかもしれません。「あれ? 杉の木が見当たらない…」と。本稿では、中杉通りと杉並区の“杉”にまつわる歴史と真実を掘り下げます。
中杉通りとは何か?
正式には「東京都道427号瀬田貫井線」の一部で、通称「中杉通り」。杉並区阿佐谷南の青梅街道から練馬区中村橋(目白通り)まで約5kmにわたり延びています。そのうち、青梅街道から早稲田通りまでの約1.5kmが美しい並木道として整備されており、駅の南北を一直線で貫く通りです。
中杉通りの並木は「ケヤキ」だった!
1954年(昭和29年)、地元住民の寄付によって植えられたのはなんと「ケヤキ」約119本でした。このケヤキ並木は春〜夏には鮮やかな緑、秋には黄金色のトンネルとして私たちを魅了し、1993年には「杉並百景」にも選ばれました。つまり、名前は“杉”でも実際には“欅”なのです。
なぜ杉でなくケヤキが選ばれたのか?その理由は、杉が都市部の街路樹としては適さないため。杉は根が浅く、倒木の危険やアレルギー(花粉)問題があるため、丈夫で見栄えも良いケヤキが選ばれました。
「中杉通り」の名前の由来
ではなぜ「中杉通り」と呼ばれるのでしょうか?
その由来は「杉並区の中央を通る杉並木通り」にあります。「中」=中央、「杉」=杉並木、合わせて「中杉」となり、象徴的なネーミングとして通り名が定着しました。なお、「中杉」は町名ではなく、通称です。
阿佐ヶ谷と中杉通りの関係
中杉通りは、阿佐ヶ谷駅の北口から南口をつなぐ重要な生活動線。ケーキ屋や美容室、喫茶店、レストランなどが並び、商店街「パールセンター」や「スターロード」とも隣接。太宰治や井伏鱒二らが暮らした文士村の歴史とも相まって、街としての文化的魅力も高い場所です。
そもそも「杉並区」に杉は多いのか?
答えは「NO」です。杉並区の名前の由来は、江戸時代に岡部氏が青梅街道沿いに植えた“杉の並木”から来ています。その並木は明治初期までには消滅し、現在、当時の杉並木は残っていません。
さらに、平成24年度の区の樹木調査によると、杉は区内の主力樹木ではなく、むしろ少数派です。ヒマラヤスギやケヤキが街路樹として主流であり、スギは都市化によって育ちにくくなっている現実があります。
それでも「杉」は区の木(シンボルツリー)として採用されており、その名残や象徴性が「杉並」という地名に引き継がれています。
年表で見る中杉通りと杉並の杉
・1952年 中杉通り開通(阿佐ヶ谷駅南北を直線で結ぶ)
・1954年 地元住民によりケヤキ並木が整備される(119本)
・1993年 杉並百景に選定され、都市景観として再評価
・2008年頃 ケヤキ並木の再生プロジェクトが開始
名前に惑わされない「杉並」と「中杉通り」
中杉通りには杉はない。杉並区にも杉は少ない。けれども、それは「名前に込められた歴史と象徴性」が現代にも息づいている証拠なのです。
杉並という名には、地域をつなぎ、文化を育み、都市景観を作り上げた人々の思いがこもっています。そして、その象徴としての「中杉通り」は、今も区の顔として、多くの人に親しまれているのです。
情報・出典元:
・杉並区ホームページ(https://www.city.suginami.tokyo.jp/)
・Wikipedia「中杉通り」「杉並区」
・中央線あるあるPROJECT
・杉並区樹木調査資料(平成24年度)
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