吉永梨沙 カラーアカデミー
NPO法人色彩生涯教育協会認定カラー講師
吉永梨沙カラーアカデミーの吉永梨沙です。
お店で服を選んでいて、
「黒のジャケットを買ったつもりだったのに、
家で見たらネイビーだった!」
そんな経験はありませんか?
お店では黒に見えたのに、明るい場所で見てみたら、
「あれ?これ、紺だったんだ!」
なんてこともありますよね。
実はこれ、単なる「見間違い」ではありません。
色は、その明るさや周りの色によって、
私たちの見え方が変わるんです。
暗い色ほど、色の違いは分かりにくくなる
まず、黒とネイビーを思い浮かべてみてください。
どちらも暗い色ですよね。
人間の目は、色を見るときに「色み」だけを
見ているわけではありません。
どのくらい明るい色なのか=明度も、
色を見分ける大切な手がかりになっています。
一般的に、色の明るさが低くなるほど、
色と色との違いを見分けにくくなる傾向があります。
例えば、
明るめのネイビー → 「青っぽい」と分かりやすい
けれど、
かなり暗いネイビー → 「これ、黒じゃない?」
となりやすいんですね。
洋服でも、
「黒だと思って買ったパンツが、実は濃紺だった」
「黒いバッグを買ったつもりが、光に当てたらネイビーだった」
ということが起こるのは、こうした理由もあります。
そして、これは洋服だけの話ではありません。
例えば、パソコンの画面に表示された
濃い青の文字と黒い文字。
「違う色を使っているから大丈夫」と思っていても、
暗い色同士では違いが分かりにくくなることがあります。
では、色を明るくすれば、すべて解決するのでしょうか?
実は、もう一つ大切なポイントがあります。
それが、「色と色の組み合わせ」です。
私たちが普段目にする色は、単独で
使われていることはほとんどありません。
案内表示も、ポスターも、Webサイトも、
文字の色+背景色
というように、必ず何かと組み合わせて使われています。
そして、この組み合わせによって、
同じ色でも見やすさが大きく変わることがあります。
例えば「赤」
赤といえば、「目立つ色」
というイメージを持つ方が多いのではないでしょうか?
駅や道路の標識などでもよく使われていますし、
お店で「SALE」と赤い文字で書かれていると、
「あ、セールやってる!」
と、つい目がいってしまうこともありますよね。
でも、「目立たせたいから赤を使えばOK」
ではありません。
例えば、
白い背景に赤い文字
と
黒い背景に赤の文字
では、見やすさが違います。
同じ「赤」でも、背景との明るさの差や
色の組み合わせによって、文字がパッと見えたり、
逆に見づらくなったりします。
これは資料やチラシを作るときにも、
とても大切なポイントです。
「好きな色だから使う」
「目立つ色だから使う」
だけではなく、
「誰に、何を、どう伝えたいのか?」
を考えて色を選ぶ。
それだけでも、伝わり方は変わってきます。
では、赤と緑はどうでしょうか。
この2色は、色名も違いますし、
「赤と緑なんて、全然違う色でしょ?」
と思う方が多いのではないでしょうか。
ところが、色覚特性のある方の中には、
赤と緑の違いを見分けにくい方がいます。
特に、色の明るさ(明度)が近い赤と緑を組み合わせると、
色の違いだけでは、区別しにくくなる場合があります。
例えば、
「赤=注意」「緑=安全」
と色だけで情報を伝えようとした場合。
一般的には、
🔴 赤 → 危険・注意
🟢 緑 → 安全・OK
と簡単に区別できますよね。
でも、色覚特性のある方にとっては、
「赤と緑だから分かる」という前提が
通用しないことがあります。
例えば、
「赤いグラフと緑のグラフで2つのデータを比較してください」
という資料を作ったとします。
せっかく「分かりやすくするため」に色を使ったのに、
色を使ったことで、かえって情報が伝わりにくくなってしまう。
そんなこともあるんです。
だからこそ、
「この色なら誰にでも分かるはず」
と決めつけるのではなく、
色以外の情報も組み合わせて
伝えるなど工夫が必要です。
私たちは普段、「赤は目立つ」
「緑は安全」、「青は爽やか」
など、色のイメージを自然に使っています。
でも実際には、
どんな人が見るのか?
どんな環境で見るのか?
どんな色と組み合わせるのか?
によって、色の伝わり方は変わることがあります。
そこで大切になるのが、
ユニバーサルデザインという考え方です。
現在、駅や公共施設、Webサイト、
商品パッケージなど、年齢や性別、国籍などにかかわらず、
できるだけ多くの人が使いやすいように
工夫されたデザインが増えています。
こうした工夫は、特別な誰かのためだけではありません。
子どもにも、大人にも、高齢者にも、
そして色の見え方に違いがある人にも、
できるだけ分かりやすく伝える。
そのための工夫です。
そして実は、私たち自身も年齢を重ねることで、
少しずつ色の見え方が変化していきます。
つまり、
「誰にでも見やすい色」について知ることは、
誰かのためだけではなく、これからの
自分のためにもなる知識となります。
UC(ユニバーサルカラー)では、
「自分以外の人には、その色はどう見えるんだろう?」
という視点を持つことができます。
色の知識が少し増えるだけで、
「この色の組み合わせ、見やすいかな?」
「色だけで伝えて大丈夫かな?」
「高齢の方にも分かりやすいかな?」
と、相手の立場に立って考えられるようになります。
色を「きれいに使う」だけではなく、
「きちんと伝わるように使う」
それが、UC(ユニバーサルカラー)の
大切な考え方のひとつです。
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