杉並区で活躍している人を取り上げます
★アーティスト マスダ マサミさん★

西荻ことカフェ
レッスン後のマスダさん
マスダさんは、関西出身で現在は杉並区の井の頭沿いにお住まいです。
西荻窪を拠点に活動するアーティスト・Webデザイナーであり、地域密着型のアート活動や西荻ことカフェでのデッサン教室を通じて、多くの人々にデッサンのテクニックやコツを伝え癒しと創造の場を提供しています。
マスダさんのデッサン教室は「心のデトックス」とも称され、絵を描くことを通じて心の浄化や自己肯定感の向上を目指しています。参加者同士が比較することなく、それぞれのペースで創作を楽しむことができる環境を大切にしており、初心者から経験者まで幅広い層に支持されています。
そんなマスダさんにお話をしていただきました。
中学生のときに、美術の先生に連れられて行った展覧会で、ものすごく衝撃を受けたことが始まりですね。
巨大な牛の絵がただ一頭描かれているだけだったんですけど、そのときに世界がガラッと変わるような感覚がありました。
学生時代は周囲には勉強ができる優秀な生徒が多く、家族や親戚の中にも“できる人”ばかりでした。
そんな中で、何となくではありますが、うまくいかない自分に、自然と自分だけが「落ちこぼれ」なんじゃないかと感じていたんです。
そして、その思春期特有のものともいえる、劣等感や息苦しさ、そして自分でもうまく言葉にできないような、孤独、不安といった感情を、他に表現する手段がなくて気づけば、私はそれを「絵」という形にして、キャンバスにぶつけていました。
無意識に描いたその絵は、どこか荒れていて、感情が渦巻くようなものでしたが、美術の授業でその作品を見た先生が、まっすぐに言ってくださったんです。
「これ、すごくいい絵だね」って。
たった一言でしたが、その瞬間、自分の中のなにかがほどけていくような感覚がありました。
こんなふうに真正面から肯定され「このままの私でいてもいいんだ」と思え、一筋の明かりに導かれるような感覚でした。
それが、美術の道へ進もうと決意したきっかけであり、振り返れば、あの瞬間が自分の人生を大きく変えた「運命の分岐点」だったと思います。
美術の教員としては10年以上、高校や専門学校で教えていました。その後、関西から東京に出てきて、今はIT企業に勤めながら、アートの講師もしています。
アートの講師は“副業”というより、どちらかというと「誰かに伝えたい」という想いからのスタートでした。実際、あるカフェで、出会いがあり息子に絵を教えてもらえませんか?って頼まれたのが、今の活動の本当の始まりなんです。
レッスンのあとはとても満たされているんです。子どもにも「ママ、レッスンから帰宅した時いい顔してる!」って言われるくらい(笑)。
絵を通して、誰かの心が少しでもほぐれるなら、それが私にとっては一番の喜びなんですよね。
コロナ禍前から完全リモート勤務をしていましたが、 座ってばかりの仕事で身体を壊しました。チャットだけの会話で1日が終わる日が続くと、 なんとも言葉にできない感覚に陥ったり。
月に1度の「デッサンの時間」 で私自身もリアルに生きている感覚を取り戻せてるんです。
参加者の皆さんのエネルギーをお裾分けしていただいてる、 と思っています。
(AIが登場してから一層感じています!)
今日も皆さんそれぞれ違うテーマで絵を描かれていましたよね。
私のクラスでは、あえて同じ題材を与えることはしていないんです。なぜかというと、どうしても人って、比べてしまうんですよね。「私は下手だ」とか「この人のほうが上手い」って。そういう競争や優劣が生まれてしまうと、描くこと自体がつらくなってしまう。でも、描くって本来、とても自由で、自分と向き合うためのものだと思うんです。

まず最初に色鉛筆でアップをします

季節を感じるモチーフ
夜デッサンはアルコール片手に楽しめます

参加者それぞれが違うモチーフを描きます
一人ひとりに声をかけていきます

最後に集合写真をとり、皆んなで作品を共有します
写真をそのまま写す「模写」と、デッサンは大きく違うと考えています。
私は、むしろ“破綻してもいいから、自分の目で見たものを描く”っていう3次元のものを2次元に落とし込む事をを大事にしたいんです。
だから、お手本はなるべく見せない。全員違うテーマで描くのも、そこにも意味があるんです。
3次元→2次元は脳トレにも役立ちますよ。
絵を描くときって、全体を見たり、細部を見たり、その間を行ったり来たりしますよね。
それって、まさに人生と同じだと思うんです。細かいことばかり気にしていると、「私なんてダメだ」ってなってしまう。でも、長い人生の一瞬だって思えば、大したことじゃない。そういう感覚を、絵を描きながら思い出してもらえたらなって。
こちらの1階では、 スタートアップのカフェ仲間や手作りアーティストが集まって毎日賑わっています。
私もここからリスタートさせていただきました。
何かチャレンジしたい人はぜひいらしてください。

参加してくださる方、 貸してくださる会場スタッフの皆さまへの感謝を大きな声で伝えたいです! 私がこの活動を続けられるのも、皆さんのおかげなんですよね。 人と空間、モチーフ、音楽、全てのコラボレーションの時間。 人にも場にも、出会えた事に感謝を感じています。
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デッサンが人生に通じる私たちは見たいものを、見たいようにしか見てません。 デッサンを通して、 その癖を知り、 生かしたり、 修正したりして、 目の前のモチーフを素直に受け取る体験をする「時間」と考えています。
まずは、各自 心を動かされたモチーフを選び、 手に取り、重さや、触感、匂い、(プラスそれにまつわる思い出)を感じてスタートします。
デッサンは、デジタル社会で蓋をされた本能(五感)を取り戻す作業です。
構造を知り(左脳) 見えたまま形をとり(右脳) ミクロ、マクロを行ったり来たり 左脳と右脳を行ったり来たり。
その繰り返しで 身体の中から自然とリズムが生まれてきます。 無駄な力を抜いて そのリズムに合わせられたら、 終わった時にスッキリします。
描くことは 現在の自分を知り、整える。 デジタルデトックスであり、 瞑想に通じるようです。
「デッサンの時間」は 参加者皆さんの集中力で空間が透明化 していくコラボレーション。 同じ場所、同じ音楽なのに 毎回違う体験なのです。
私はただ場を準備してそっと差し出し、 歩きまわり、会場の空気をかき混ぜることで、コラボの参加者とさせて頂いてます。 本当に感謝しかありません。
もし、何かに疲れたり その逆で、全てが順調で今の自分を可視化したくなったり、ただただ、描きたくなったら どうぞ、いつでも「デッサンの時間」に帰って来てください。
お会い出来る事、楽しみにしています。 マスダ マサミ |
西荻窪でぜひおすすめしたい、カフェがあります。「sing(シング)」さんです。
ここは、店主のこだわりで、美味しくて、訪れるたびに心も体も喜ぶ場所です。レッスンで終わってくたくたになった心と身体をそっと癒してくれる、大切な場所です。

取材・撮影にご協力いただいた
カフェ「sing(シング)」店主の安楽(あんらく)さん

カーペンターズの「sing」より名付けた、カフェ「sing(シング)」 黒猫の看板が目印です!

Singのアイスハーブティーと生フルーツソーダ
| Sing | 杉並区西荻南1丁目19−20 ライオンズマンション 1F |
| 営業時間 | 13:00~18:00 木・金 定休日 変更する場合があります。 TwitterやInstagramでご確認下さい。 |
「ガラスペンとインクで描く時間」を開講しました!
ガラスペンは、文字と絵を自然と組み合わせて描ける画材。
メール問合せ info@m04-m.com |

講師作品
breath
アクリル絵具とガラスペンを使って

ガラスペンを使って、カラフルなインクで自由に描く時間です
私はもともと関西から杉並に越してきたんですが、住んでみてびっくりしたのが、「杉並って、こんなにもアーティストが多いんだ!」ってことなんです。しかも大御所!
でも不思議と、その方たちが杉並区内で積極的に活動しているかというと、案外そうでもないんですよね。
きっと皆さん、“爪を隠す”ように控えめで、目立とうとしない方が多いんだと思います(笑)。
でも、そういうところも杉並らしくて、私はとても好きなんです。
ただ、やっぱり「もう少し発表の場があったらいいのにな」と感じることもあります。
高齢の方や、小さなお子さんを育てているお母さんたちが、もっと気軽にアクセスできて、作品を展示したり、誰かとつながったりできるような、そんなやさしい場所があったら素敵ですよね。
そういう“居場所”って、思っている以上に人の心を支えてくれるんです。
杉並には、私にとっての“とっておきの場所もたくさんあります。
高井戸の「美しの湯」地元で本物の温泉が楽しめる貴重な場所です。
西荻窪の「パームスパークコーヒー(palms park coffee)」
店主のジョニーさんがとっても面白い方で、コーヒー豆にも強いこだわりがあるんです。人生そのものが物語みたいな方なので、ぜひ、まいぷれ杉並区さんに取材もして紹介していただきたいなと思います。
久我山のパン屋さん「パンドブラン」
アレルギーにも配慮していてアレルギーで苦労してる息子にも安心して食べさせられるやさしいパンを作ってくださっています。
高井戸東にある小さな花屋カフェ「花ト喫茶 ネコノコバン」
月末に開かれる“お花を描く会”に描く側として参加しています。
静かに花を見つめて描くひとときが、私にとっては癒しの時間になっています。
そして最後に…家族みんなが愛してやまない場所が、「高井戸公園」です。
自然が広がる気持ちの良い公園で、浪人中の息子も、夜な夜な気晴らしにお散歩しています(笑)。
私たちにとって、この場所は広い空を感じることができて、心がふっと軽くなる、そんな大切な場所です。
編集後記
西荻窪のことカフェさん2階 アーティスト・マスダマサミ・「デッサンの時間」にお邪魔しました。
編集部員も絵(水彩)を少し習ったことがあったのですが、その時の雰囲気とは全く異なった「おとなの時間」という印象でした。
マスダさんの教室では、完成された作品だけが芸術なのではないという事。
紙に向かう時間そのもの、筆を握る手の緊張と緩和、マスダさんとのやわらかな会話。この日のために、先生がこだわり選曲された音楽、そのすべてが一つの“作品”であり、先生の「伝える」ということの延長なのだと感じました。
特に印象的だったのは、この教室で皆さんが感じている「デジタルデトックス」という感覚です。
普段、スマートフォンやパソコンの画面越しに膨大な情報を浴びながら生きる私たちにとって、この教室の空気はまるで“静けさに満ちた森”のようでした。生徒の皆さんも、「この時間だけは、何かを忘れて自分と向き合える」と仰っていました。それはまるで、日常の喧騒からふっと距離を置き、呼吸を深く取り戻すようなひととき。
マスダさんの教室は、絵を描く技術を教えるだけの場所では決してなく「自分自身を大切にする時間」そのものを丁寧に差し出してくれるような空間でした。
杉並のこの街で、静かに、確かに根を張りながら、人々の表現の芽を育て続けているマスダマサミさん
この場をお借りして、深く感謝の気持ちをお伝えさせていただきます。
また、ご協力くださった生徒の皆さまにも、心より感謝申し上げます。
※取材時点の情報です。掲載している情報が変更になっている場合がありますので、詳しくは電話等で事前にご確認ください。