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【荻窪】天沼八幡神社 子ども神楽と日本の神話紙しばい

秋の神楽殿に響いた祈りと物語

秋の天沼八幡神社に集った人々

2025年10月26日(日)、荻窪・天沼八幡神社の神楽殿では、秋の恒例行事「子ども神楽」と「日本の神話紙しばい」が開催されました。
それぞれ異なる団体による奉納上演でしたが、神楽殿を舞台に一日を通じて祈り”と“語りが響き合い、地域の人々に深い感動を残しました。

境内は朝から多くの家族連れや参拝客で賑わい、子どもたちの元気な声と笛太鼓の音が秋風に溶けていました。
神社の鳥居をくぐると、舞台には白布が張られ、鈴や榊が飾られ、まさに「神事」と「芸能」がひとつになった荘厳な雰囲気が漂っていました。

第一部「子ども神楽」

最初に行われたのは、地域の子どもたちによる「子ども神楽」でした。
演目は、地元・天沼に伝わる女神「市杵島姫命(いちきしまひめのみこと)」を題材にした新作ふるさと神楽『天沼の市杵島姫』

監修・指導を務めたのは、埼玉県新座市を拠点とする伝統神楽団体「武州里神楽 石山社中」で、稽古の段階から子どもたちに舞の基本を丁寧に教えてきました。


当日は、白装束に緋袴をまとった子どもたちが扇子を手に舞い、
笛と太鼓の音に合わせて、祈りの心を込めた優雅な舞を披露しました。
子ども達の舞で構成された神楽は、力強さと純粋さをあわせ持ち、観客の心を静かに打ちました。

舞台を支えた「武州里神楽 石山社中」

この子ども神楽を導いたのは、四百年以上の歴史を誇る武州里神楽 石山社中でした。
十世家元・石山裕雅(いしやま ひろまさ)氏を中心に、古典神楽から創作神楽まで幅広く活動している団体です。
同社中は、「神々の祝福を人へ、人々の祈りを神へ」を理念に、地域と神楽の橋渡し役を担っています。

当日は、太鼓や笛を担当する石山社中のメンバーが舞台を支え、石山社中の嫡男であり次世代の神楽師である石山遙貴(いしやま はるたか)さんも出演しました。
遙貴さんは、子どもたちと一緒に舞台に立ち、動きの模範を示しながら舞全体を導きました。
まだ年若いながらも堂々とした舞姿で、観客から大きな拍手を受けていました。

 

第二部「日本の神話 紙しばい」

13時の子ども神楽が終わったあと、続いて14時から上演されたのが日本児童文化教育研究所による「日本の神話 紙しばい」でした。こちらは子ども神楽とは別の団体によるもので、代表は川上彰子(かわかみ あきこ)さんです。

この紙芝居は、で川上氏の祖母が40年以上前に制作したオリジナル作品、内容は日本最古の歴史書『古事記』をもとに構成されていました。時を経ても色あせない手描きの絵には、昔の紙や絵具の風合いがそのまま残り、観る人を古代の神話世界へと誘いました。

日本児童文化教育研究所のメンバーの朗読に合わせて、神々の誕生や国産みの物語が語られ、紙芝居のページをめくるたびに、観客からは感嘆の息がもれました。
子どもたちも真剣な表情で聞き入り、「神話を聞く」という日本古来の体験を楽しんでいる様子でした。

第三部「子ども神楽」再演

午後3時からは、再び子ども神楽の上演が行われました。
午前の緊張がほぐれたのか、子どもたちの動きには一層の伸びやかさが感じられ、舞台はより力強く、祈りの気持ちがこもったものとなりました。石山裕雅氏は舞台の後方から温かく見守り、終了後には「神楽は神様と人とを結ぶもの。今日の舞はその原点を思い出させてくれた」と語りました。

二回の公演を通じて、子どもたちは大きな自信と達成感を得たようで、終了後の境内では笑顔と安堵の表情が広がっていました。

地域に息づく祈りと物語、天沼八幡神社がつないだ一日

天沼八幡神社では、例大祭や奉納演芸などを通じて、地域と伝統のつながりを大切にしてきました。
今回の行事もその延長線上にあり、地元の子どもたち、伝統神楽の継承者、そして語り部がそれぞれの立場から心を込めて舞台を作り上げました。

地域の住民からは、「日本の神話 紙しばいを両方見たので深く意味が伝わった」「子どもたちが立派に舞ってくれて誇らしい」といった感想が寄せられ、観る者の心に確かな余韻を残しました。

午後の柔らかな光が差し込む神楽殿では、鈴の音と紙芝居の語りが重なり合い、まるで日本の神々が微笑んで見守っているかのような雰囲気が広がっていました。
表現の形は違っても、舞い手も語り手も共通していたのは「祈りを届けたい」「物語を伝えたい」という真心でした。

こうして天沼八幡神社は、祈りと芸能が響き合う文化の交差点として、地域に新たな灯をともしました。
この日の出来事は、杉並・荻窪の誇りとして、これからも静かに語り継がれていくことでしょう。

※取材時点の情報です。掲載している情報が変更になっている場合がありますので、詳しくは電話等で事前にご確認ください。