杉並区で活躍している人を取り上げます
★【阿佐ヶ谷】MUAYGORI GYM ムエゴリジム ムエタイチャンピオン 今村卓也さん★

タイの聖地で、日本人として快挙を達成!
僕はもともと野球少年で、高校まではずっと野球一筋でした。プロを目指すくらい真剣に打ち込んでいましたが、18歳で野球を終え、21歳のときにキックボクシングを始めました。きっかけは、友人がプロボクサーとして活躍していたこと。自分も体を使って挑戦してみたい、そう思ったんです。
テレビで見たK-1をきっかけにキックボクシングを始めたのですが、最初は肘打ちがあったりするムエタイなんて危ないからやりたい気持ちはあまりありませんでした。しかし、師匠や指導者にきっとムエタイの方が僕には向いていると背中を押されてムエタイの道へ進みました。
今ではその判断の正しさが自分でもよく分かります。歳月と経験を経て同じ立場になった今なら、あのときの自分に声をかけて同じ選択を勧められる。そう思えるようになりました。
僕は決して才能があるタイプではありませんでしたが、僕は周りの選手よりも身体が頑丈でフィジカルが強かったんです。そのフィジカルを生かして相手をしっかり捕まえて消耗させることを重視していました。
単に速く打つのではなく、粘り強く組み合い、得意のフィジカルで首相撲や膝で少しずつ相手を削り後半勝負。ムエタイは5ラウンドあるのでラウンドが進むにつれて自分の強さが出るスタイルを磨いていきました。


言葉も文化も違うし、現地の選手はとにかく強い。でも、そこで本物のムエタイに触れて、自分のスタイルが磨かれていったと思います。2016年にラジャダムナン・スタジアムで王座を獲り、通算9本のベルトを獲得することができました。
2016年6月1日、僕は日本人として5人目、外国人としても6人目となる快挙で、ムエタイの最高峰であるラジャダムナン・スタジアム スーパーウェルター級王者となりました。
さらに同年10月9日には、日本人として初めてラジャダムナン現地で防衛に成功。
これはムエタイの本場タイで公式に認められた「真の王者」として証明された瞬間であり、日本の格闘技史にも残る出来事でした。「チャンピオン」と呼ばれる存在となったんです。
格闘技は個人スポーツのようですが、1人の力では絶対に強くなれません。
教えてくれる先生やトレーナー、練習仲間、家族や周りの支えがあってこそ続けてこられました。
僕のジムには現役の選手、元チャンピオンやずっと一緒に練習してきた仲間も、今はスタッフとして一緒にジムを盛り上げてくれています。
僕は本当に周りに恵まれています。今まで以上に周りの仲間に感謝しています。
街の雰囲気が好きだったんです。格闘技って怖いイメージがあるかもしれないけど、実は誰でもできるんですよ。だからこそ、地域の人が気軽に来られる場所を作りたかった。MUAYGORI GYMは、強くなるだけじゃなくて、楽しく続けられる場所にしたかったんです。
「強さは、誰かを守るためにある」
そう語る今村さんは、2024年4月阿佐ヶ谷に自身のジム「MUAYGORI GYM」を開設。
選んだのは、地元の人たちが気軽に通える街のジムというスタイルだった。
「格闘技は怖くない。むしろ、人生を前向きにしてくれる」
ジムには、キックボクシング未経験の方や、ストレス発散を目的とした会社員など、さまざまな人が集まってきた。
今村さんは、プロ志望者にも、フィットネス目的の人にも、同じ熱量で指導する。
女性会員が半分以上を占めていること。しかもほとんどがキックボクシング未経験からのスタートです。
「ダイエットしたい」「ストレスを解消したい」「体力をつけたい」… 理由はそれぞれですが、誰でも楽しく続けられる場所をつくりたいと考えています。
内装は奥さんのアイデアを取り入れ、明るく清潔で女性でも入りやすい空間にしました。娘が生まれたのもオープンとほぼ同時期で、僕にとってこのジムは「もう一つの家族」のような存在です。


阿佐ヶ谷の商店街にオープンした「MUAYGORI GYM」
明るく開放的な空間で、楽しく続けてほしい!




ここ数年はジムの運営に集中していて試合から少し遠ざかっていましたが、僕はまだ引退していません。
ジムを安定させ、もう一度リングに立ちたい。 そう思っています。
もちろん、勝負の世界は厳しいですが、挑戦をやめたらそこで終わり。自分の背中を見せることも、会員さんにとって意味があると信じています。

「格闘技はリングの上だけじゃない。人と人のつながりを作ってくれる」
格闘技は「強さ」を磨く場所ですが、それ以上に人と人をつなぐものだと僕は思っています。
このジムが、地域の皆さんにとって
「健康になれる」「仲間ができる」「自分を変えられる」場所になれたら嬉しいです。
「格闘技は怖そう」というイメージを、
「格闘技=楽しい、健康、美しくなれる」に変えていきたい。阿佐ヶ谷から、その魅力を広げていきます。

会員さん同士で集まってのBBQなども開催。横の繋がりを大切にしている

ジムの内装をデザインされた奥様。商店街からはガラス張りで中の様子が窺えるスタイリッシュなジムとなっている
杉並に住んで、もう10年以上になります。、一番の場所は、やっぱり銭湯です。
西荻に住んでた頃、家から歩いて1分のところに銭湯があった。
ほぼ毎日通ってたな。湯船につかりながら、常連のおじいさんたちと語り合う時間──あれが何よりの癒しだった。
10年前、後楽園ホールでタイトルマッチを戦ったときのことです。
銭湯仲間十数人も応援に来てくれました。
試合に勝ったあとには、祝勝会まで開いてくれて──あれは本当に胸に沁みた。
いつも裸で語り合ってた仲間が、服を着ていたこと(笑)。
「おい、誰かと思ったぞ!」って笑いながら、あらためて人とのつながりのありがたさを噛みしめた。
銭湯は、ただの風呂じゃない。
裸になって、肩の力を抜いて、世代を超えて語り合える場所。
ここにも人との繋がりがありました。
実は、ムエゴリジムの会員の半分以上が女性です。
しかもその多くが、キックボクシング未経験の方や、ダイエット目的で通い始めた方。
「ジムは怖そう」「キックはハードそう」――そんなイメージを持たれるかもしれませんが、
実際は楽しく汗を流せる、フィットネス感覚の空間です。
最初は「体力がないから不安」という声も多いですが、
30分の軽い参加から始めて、数ヶ月後には1時間しっかり動けるようになる方がほとんどです。
実際に通われている方からは、
「背中が引き締まった」・ 「ストレス発散になる」・ 「気の合う仲間ができた」
といった嬉しい声が多数寄せられています。
編集後記
今回、まいぷれ杉並区編集部として初めて、ムエタイ世界チャンピオンの今村卓也(T-98)さんにお会いすることができました。
テレビや雑誌で名前を目にする有名な選手ですが、実際にお話ししてみると、華やかな実績に決して驕ることなく、本物の実力に裏打ちされたまっすぐなお人柄がとても印象的でした。
インタビューを通じて、ジムを大切に、そして何よりも会員さん一人ひとりを大切にする姿勢に深く感銘を受けました。特に「安全面」に対するプロとしてのこだわりは強く、楽しく続けてもらうために工夫を惜しまない姿は、まさに指導者の鑑といえるでしょう。
一方で、西荻窪の銭湯で育まれた裸の仲間のお話はとてもほほえましく、地域に根付いた人間味あふれる一面も垣間見ることができました。
キックボクシングが未経験でも気軽に通えるムエゴリジムは、取材しながら、私自身も思わず「通ってみたい」と感じてしまいました。杉並に新しく誕生したこのジムから、たくさんの笑顔と元気が広がっていくことを心から期待しています。
※取材時点の情報です。掲載している情報が変更になっている場合がありますので、詳しくは電話等で事前にご確認ください。