まいぷれ杉並区スタッフが行った!みた・きいた!
阿佐ヶ谷神明宮境内でのインドネシア・バリ島の舞踊や音楽の奉納上演をメインに2002年からスタートしたお祭りです

イベント名
第25回 阿佐ヶ谷バリ舞踊祭
開催日
2026年8月1日(土)・2日(日)
会場
阿佐ヶ谷神明宮 能楽殿
入場料
無料
テーマ
「森が見たひかり」
主催
阿佐ヶ谷バリ舞踊祭実行委員会

2026年8月1日(土)、阿佐ヶ谷神明宮で開催された「第25回 阿佐ヶ谷バリ舞踊祭」の初日に伺いました。
JR阿佐ケ谷駅北口から徒歩約2分という便利な場所にありながら、境内へ一歩足を踏み入れると、そこには普段の神社とは少し異なる特別な空気が流れていました。
色鮮やかな衣装を身にまとった踊り手たち、ゆっくりと開演を待つ多くの来場者、そして境内に響くガムランの調べ。これから始まる幻想的な舞台への期待が自然と高まります。
阿佐ヶ谷バリ舞踊祭は、2002年に始まり、2026年で第25回を迎えた国際文化交流イベントです。
四半世紀にわたり阿佐ヶ谷神明宮の能楽殿を舞台に開催され、日本の神社でインドネシア・バリ島の伝統芸能を奉納する、全国的にも珍しい催しとして親しまれています。
今年のテーマは「森が見たひかり」。日本とバリ島、それぞれの文化が静かに寄り添い合う二日間です。

阿佐ヶ谷神明宮・齋藤博明宮司
午後5時の開演を前に、阿佐ヶ谷神明宮の齋藤宮司によるごあいさつが行われました。
齋藤宮司は、第25回という節目を迎えた阿佐ヶ谷バリ舞踊祭が、四半世紀にわたり多くの方々に支えられ開催されてきたことへの感謝を述べられるとともに、日本とインドネシア・バリ島の文化交流が、今後も末永く続いていくことへの期待を語られました。
奉納行事として開催される舞踊祭らしく、ごあいさつが終わると会場は静寂に包まれ、神聖な空気の中で第25回阿佐ヶ谷バリ舞踊祭が幕を開けました。



舞台となるのは、阿佐ヶ谷神明宮の能楽殿です。
演奏が始まると、青銅製の鍵盤楽器やゴング、太鼓などで奏でられるガムランの音色が、境内いっぱいに響き渡ります。
ガムランは、インドネシア・バリ島に古くから伝わる伝統音楽で、舞踊には欠かすことのできない存在です。楽器ごとに異なる旋律が幾重にも重なり合うことで生まれる独特の響きは、日本の雅楽とはまた違った神秘的な世界をつくり出します。
木々に囲まれた能楽殿とガムランの音色が見事に調和し、会場はまるでバリ島の寺院を訪れたかのような幻想的な空間に包まれました。
日が傾くにつれて境内は夕暮れの柔らかな光に染まり、時間の経過とともに神秘的な雰囲気がさらに深まっていきました。



第1部の幕開けを飾ったのは、「ヌラヤン(Nelayan)」です。
「ヌラヤン」はインドネシア語で「漁師」を意味し、海とともに暮らす人々の生活や、自然への感謝を表現した創作舞踊です。
舞台では、波の揺らぎや船を操る様子、豊かな海の恵みを思わせるしなやかな動きが随所に取り入れられ、複数の踊り手による息の合った群舞が披露されました。
色鮮やかな衣装と美しいフォーメーション、そしてガムランの軽快な音色が一体となり、観客を一気にバリ島の世界へと引き込みます。華やかで躍動感あふれる舞は、第25回阿佐ヶ谷バリ舞踊祭の幕開けにふさわしい印象的な演目となっていました。



続いて披露されたのは、遠藤忠之さんによる男性舞踊「バリス・トゥンガル」です。
「バリス」は「戦士」、「トゥンガル」は「一人」を意味し、一人の若き戦士が戦いへ向かう勇気や緊張感、誇りを表現したバリ島の古典舞踊です。力強い足さばきや鋭い目線、躍動感あふれる所作が特徴で、バリ島では男性舞踊の基礎として小学校でも学ばれる重要な演目とされています。
能楽殿では、遠藤さんの堂々とした舞がガムランの演奏と見事に調和し、神聖な空間に力強い存在感を放っていました。優雅な女性舞踊とは対照的な迫力ある舞に、観客からは大きな拍手が送られていました。
公演後にお話を伺うと、遠藤さんは「もともとは音楽家だったんです」と笑顔で話してくださいました。バリの音楽に魅了され、伝統楽器であるガムランに興味を持ったことが、バリ文化との出会いだったそうです。その後、舞踊団では男性の踊り手が少なかったことから、「気が付いたら踊ることになっていました」と振り返ります。
音楽との出会いから始まったバリ文化との縁が舞踊へと広がり、現在では多くの観客を魅了する舞踊家として活躍されている遠藤さん。その力強くも気品あふれる「バリス・トゥンガル」は、第25回阿佐ヶ谷バリ舞踊祭を代表する印象的な舞台の一つとなっていました。


バリ舞踊家・演奏家、遠藤忠之さん
舞台では、遠藤忠之さんの堂々とした舞が阿佐ヶ谷神明宮の能楽殿と見事に調和し、その力強さと繊細な表現に多くの観客が見入っていました。
公演後にお話を伺うと、遠藤さんは「もともとは音楽家だったんです」と穏やかな笑顔で話してくださいました。
バリの音楽に魅了され、伝統楽器・ガムランに興味を持ったことが、バリ文化との出会いだったそうです。その後、舞踊団では男性の踊り手が少なかったことから、「気が付いたら踊ることになっていました」と笑いながら当時を振り返ります。
音楽との出会いがきっかけとなり、やがて舞踊の世界へ。現在では男性舞踊「バリス・トゥンガル」をはじめとする演目で活躍され、多くの人々を魅了しています。その自然体のお話からは、長年にわたりバリ文化と向き合い続けてきた深い愛情と情熱が伝わってきました。
力強さの中にも気品を感じさせる遠藤さんの舞は、神聖な能楽殿の空間に溶け込み、第25回阿佐ヶ谷バリ舞踊祭を象徴する印象的な舞台の一つとなっていました。


バリ舞踊は、神々への祈りや感謝を表現する奉納芸能として、古くから寺院や祭礼など神聖な場所で受け継がれてきました。日本でいう神楽や能と同じように、人々の祈りや信仰と深く結び付いた伝統文化です。
一見すると優雅で美しい舞に見えますが、その一つひとつの動きには意味が込められています。繊細な指先の動き、しなやかな手首の返し、首の角度、鋭い目線、ゆっくりとした歩みまで、すべてが物語や感情、そして神々への祈りを表現しています。
また、舞踊を彩る豪華な衣装や冠飾りも、作品の世界観を表現する大切な要素です。踊り手の表情や細やかな所作に目を向けることで、バリ舞踊の奥深い魅力をより感じることができます。
阿佐ヶ谷神明宮の能楽殿という神聖な舞台で披露されることで、その祈りの心がより際立ち、日本とバリ島、それぞれの伝統文化が美しく響き合う特別な時間となっていました。





今年のテーマは「森が見たひかり」。
初日は3部構成で、古典舞踊や創作舞踊、器楽曲など全9演目が披露されました。それぞれ異なる魅力を持つ作品が次々と上演され、約3時間にわたり観客を幻想的なバリの世界へと誘いました。
【第1部】
・ヌラヤン
・バリス・トゥンガル
・レゴン・チャンドラ・カンタ
【第2部】
・スカル・ジャガット
・チャンドラ・ムトゥ
・レゴン・ジョボッグ
【第3部】
・ウジャンマス(器楽曲)
・ジャランテジ
・レゴン・スプラバ・ドゥタ
優雅で繊細な女性舞踊、力強い男性舞踊、物語性豊かな古典レゴン、そして会場を包み込むガムランの器楽演奏まで、多彩なプログラムが続きました。演目ごとに異なる表情を見せる舞台に、多くの来場者が魅了され、第25回という節目にふさわしい華やかな一日となりました。

初日の第2部最後を飾ったのは、「レゴン・ジョボッグ」です。
「レゴン・ジョボッグ」は、バリ島を代表する古典舞踊「レゴン」の代表的な演目の一つで、「ジョボッグ」はバリ語で「猿」を意味します。女性舞踊家が猿の王兄弟・スバリとスグリワを演じ、誤解から対立しながらも、最後には和解へと至る兄弟の物語を描いています。
レゴンならではの優雅で繊細な所作の中にも、兄弟の葛藤や怒り、そして再び絆を取り戻していく様子が情感豊かに表現され、物語は観客を自然と舞台へ引き込んでいきます。
美しい舞の中に物語性が巧みに織り込まれた「レゴン・ジョボッグ」は、華やかさだけでなく、古典舞踊ならではの奥深さを感じさせる印象的な演目となっていました。

舞踊や音楽だけでなく、会場を訪れた人々を楽しませていたのが、境内に並ぶインドネシア料理やドリンクなどの屋台です。
本場の味を気軽に楽しめる屋台には、多くの来場者が足を止め、食を通じてバリ文化を身近に感じていました。香辛料の豊かな香りが境内に広がり、阿佐ヶ谷神明宮にいながら異国の雰囲気を味わえるのも、この舞踊祭ならではの魅力です。
家族連れや友人同士はもちろん、海外からの来場者の姿も見られ、舞踊やガムランの演奏を楽しみながら思い思いの時間を過ごしていました。
日本の神社とバリ島の文化が自然に溶け合い、境内全体が温かな交流の場となっていたことも、第25回阿佐ヶ谷バリ舞踊祭の印象的な風景の一つでした。


今回の取材で最も印象に残ったのは、日本の伝統文化とバリ島の伝統文化が、ごく自然に一つの空間へ溶け込んでいたことです。
夕暮れから夜へと移り変わる境内、やわらかくライトアップされた能楽殿、幻想的に響き渡るガムランの音色、そして優雅でありながら力強さも感じさせるバリ舞踊。そのすべてが重なり合い、日本にいながらバリ島を訪れたような特別な時間が流れていました。
阿佐ヶ谷神明宮という神聖な場所だからこそ、奉納芸能であるバリ舞踊が持つ祈りの意味や美しさがより際立ち、日本とインドネシア、それぞれの伝統文化が違和感なく響き合っているように感じられます。
四半世紀にわたり受け継がれてきた阿佐ヶ谷バリ舞踊祭は、単なる舞踊公演ではなく、人と人、文化と文化を結ぶ架け橋として、これからも多くの人々を魅了し続けていくことでしょう。



2002年に始まり、第25回という節目を迎えた阿佐ヶ谷バリ舞踊祭。
四半世紀という長い歴史の中で、この催しが多くの人々に愛され続けてきた理由を、会場で過ごした時間を通して実感することができました。
阿佐ヶ谷神明宮という歴史ある神社で、インドネシア・バリ島の伝統文化に触れられるこの舞踊祭は、全国的にも珍しい文化交流イベントです。
ガムランの音色が境内に響き渡り、優雅な舞が能楽殿を彩る光景は、日本とバリ島、それぞれの文化が互いを尊重しながら美しく調和していることを感じさせてくれました。
地域の皆さんや出演者、関係者の皆さんが長年にわたり大切に育み続けてきたからこそ、今日の舞踊祭があるのでしょう。
阿佐ヶ谷の夏を彩る、もう一つの風物詩。
来年もまた、この幻想的な世界が阿佐ヶ谷神明宮で繰り広げられることを楽しみにしています。
※取材時点の情報です。掲載している情報が変更になっている場合がありますので、詳しくは電話等で事前にご確認ください。

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